南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一八)

 次に政木《まさき》孝嗣《たかつぐ》入り替わり、仮家《かりや》に登り来て、又|君命《くんめい》を演《の》べて、贄物《にえもの》の目録を呈《てい》すれば、定正《さだまさ》羞《はじ》て答うる所を知らず。顕定《あきさだ》代わりて、謝して亦、大刀《たち》一口《ひとこし》を拿《と》らせけり。這《この》時犬阪|下野《しもつけ》は既に、伴《とも》の士…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一七)

 然《され》ば東西四艘の快船《はやふね》は、波の上三里の程にて、端《はし》なくも遭際《ゆきあ》う兀自《ものから》、疾《と》きこと飛鳥《ひちょう》に異ならねば、助友《すけとも》東震《はるたつ》も、胤智《たねとも》孝嗣《たかつぐ》も、迭《かたみ》に目礼しぬるのみ、一瞬間《またゝくひま》に行き過ぎけり。約莫《およそ》船の迅速《すみやか》なるを…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一六)

 爾程《さるほど》に、扇谷《おうぎがやつ》定正《さだまさ》山内《やまのうち》顕定《あきさだ》は、三浦《みうら》の浜辺に一座|数間《すけん》の、仮屋《かりや》を架けさせて、当日《そのひ》辰牌《たつのとき》より、朝服《ちょうふく》にて出座せり。這《この》日来会の諸侯は、千葉介《ちばのすけ》自胤《よりたね》、三浦《みうら》陸奥守《むつのかみ》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一五)

 恁而《かくて》其《そ》の次の日に、犬阪犬村犬山等を首《はじめ》にて、武蔵《むさし》相摸《さがみ》に、久しく在城せし諸頭人《しょとうにん》は、皆|義成《よしなり》主《ぬし》に見参《げんざん》して、忠戦《ちゅうせん》軍功を賞せらる。妙真《みょうしん》音音《おとね》曳手《ひくて》単節《ひとよ》は、別に又|這《この》事あり、義成《よしなり》の…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一四)

[#ここから2字下げ] 今ぞほす身のぬれ衣《ぎぬ》はむら雨《さめ》に親の遺《のこ》せし言《こと》の葉の露《つゆ》 [#ここで字下げ終わり]  両三番《ふたゝびみたび》吟ずる程に成氏《なりうじ》耳を欹《そばだて》て、聞きつゝ憶《おも》わず膝|拍鳴《うちな》らして、 「遖《あわれ》愛《めで》たき実詠《じつえい》達意《たつい》、求めず…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一三)

 折《おり》から又|簷上《のきば》を過ぐる、驟雨《むらさめ》の音|凄《すさ》まじく、風さえ烈《はげ》しき雷霆《なるかみ》の、※[#「石+殷」、第3水準1-89-11]々《おどろ/\》と鳴亘《なりわた》る、四月《うづき》下旬《すえ》の闇《くら》き夜に、※[#「窗/心」、第3水準1-89-54]《まど》の隙《ひま》洩《も》る電光《いなびかり…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一二)

 爾程《さるほど》に成氏《なりうじ》は、犬塚|信濃《しなの》に送られて、三四日《みかよか》の旅宿《たびね》をしつゝ、安房《あわ》より上総路《かずさじ》を経《へ》て、下総《しもふさ》なる真間《まま》の里に来にける時、既に申牌《さるのとき》に及びて、驟雨《むらさめ》連《しき》りに降り沃《そゝ》げば、犬塚|信濃《しなの》計らいて、成氏《なりう…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一一)

「※[#「研のつくり」、第3水準1-84-17]《そ》は辱《かたじ》けなく候えども、我|愚《おろか》にして順逆の理《り》に暗く、惑《まよ》うて和殿を伐《う》たまくせしすら、後悔|臍《ほぞ》を噬《か》めるのみ、いかにして其《そ》の荘園を受けんや。それよりも願わしきは、帰郷の憶念《おくねん》箭《や》の如し。些《ちと》の伴当《ともびと》を貸し…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一〇)

 間話休題《あだしごとはさておきつ》、第三番は、自胤《よりたね》を迎えの士卒、一百五六十|名《にん》也。原《はら》胤久《たねひさ》這里《こゝ》に侍《はべ》れば、胤介《たねすけ》等は参らずと云う。第四番は、為景《ためかげ》を迎えの頭人《とうにん》、宇佐美《うさみの》三郎《さぶろう》職政《もとまさ》梶原《かじわら》后平二《ごへいじ》景澄《か…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(九)

「其《そ》の義は助友《すけとも》が言上《ごんじょう》にて、寡君《かくん》定正《さだまさ》の証文《あかしぶみ》こゝにあり」  といいつゝ軈《やが》て一通を、拿出《とうで》て逓与《わた》すを道節は、受拿《うけと》りつ開き見て、 「有種《ありたね》自得《じとく》の荘園にて、扇谷《おうぎがやつ》殿の賜《たま》うにあらねば、這《この》照書《あ…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(八)

 有恁《かゝり》し程に、巨田《おおた》薪六郎《しんろくろう》助友《すけとも》は、小幡《おばた》木工頭《むくのかみ》東良《はるよし》の独子《ひとりご》なる、小幡《おばた》木工太郎《むくたろう》東震《はるたつ》と倶《とも》に、二三千の士卒を将《い》て、五十子《いさらご》の城に来ぬる程に、人馬《にんば》を多く城外に留在《とゞめあ》らせて、助友…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(七)

「小森《こもり》生《うじ》の計らいも、妙真《みょうしん》音音《おとね》刀自《とじ》等の寡欲《かよく》なるも、皆是忠義の真面目《しんめんもく》にて、最《もと》愉快といいつべし。城逓与《しろわたし》の時分も近づきぬ」  といいつゝ先《ま》ず雑兵《ぞうひょう》をもて、浦安《うらやす》牛助《うしのすけ》友勝《ともかつ》を召《よ》びよせて、且《…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(六)

「汝等《いましら》の※[#「魚+哽のつくり」、第3水準1-94-42]直《かたいじ》なる、東西《もの》受けられねば、術《すべ》もなけれど、時は今|四月《うづき》の下浣《すえ》にて、今日は殊更《ことさら》温暖《あたゝか》なるに、去歳《こぞ》の儘なる小袖では、汗に堪《た》えずやあらんずらん、切《せめ》て是をば受けてよ」  と言《こと》叮寧…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(五)

 爾程《さるほど》に、犬阪|下野《しもつけ》胤智《たねとも》は、五十子《いさらご》の城にかえり来て、城逓与《しろわた》しの事|遺《おち》もなく、新井《あらい》大塚《おおつか》及《また》石浜《いしはま》なる三箇城《みつのしろ》へ、義成《よしなり》主《ぬし》の下知《げぢ》を伝えて、且《かつ》浦安《うらやす》牛助《うしのすけ》、千代丸《ちよま…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(四)

 有恁《かゝり》し程に、堀内《ほりうち》貞澄《さだずみ》は、鎌倉《かまくら》より退《しりぞ》き来て、則《すなわ》ち犬村|大学《だいがく》に、鎌倉《かまくら》の事の趣《おもむき》を、恁々《しか/″\》と告げしかば大学《だいがく》則《すなわ》ち其《そ》の隊《て》の士卒と、三浦《みうら》四十八|郷《ごう》の士民《しみん》に、身の暇《いとま》を…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(三)

 然《され》ば其《そ》の次の日に、犬阪|下野《しもつけ》犬山道節、犬村|大学《だいがく》は、義成《よしなり》主《ぬし》に見参《げんざん》して、城逓与《しろわた》しの事を命ぜられ、且《かつ》堀内《ほりうち》貞住《さだずみ》、小森《こもり》高宗《たかむね》登桐《のぼぎり》良于《よしゆき》等にも、この旨《むね》を伝えよとて、照書《しょうしょ》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(二)

 当下《そのとき》犬江親兵衛は、助友《すけとも》に向かいていうよう、 「言《こと》新しく候えども、御家《おいえ》の忠臣、河鯉《かわごい》守如《もりゆき》の独子《ひとりご》なる、河鯉《かわごい》佐太郎《すけたろう》孝嗣《たかつぐ》は、霊狐《くしきつね》の冥助《みょうじょ》にて、讒死《ざんし》の刃《やいば》を免《まぬか》れしより、政木《ま…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十九(一)

   第百七十九回下  再説《ふたゝびとく》、巨田《おおた》助友《すけとも》斉藤《さいとう》高実《たかざね》、下河邊《しもこうべ》行包《ゆきかね》原《はら》胤輔《たねすけ》、直江《なおえ》莊司《しょうじ》兼光《かねみつ》、水崎《みさき》蜑人《あまんど》等は、犬阪犬塚、犬村犬川等の、諸犬士に案内《しるべ》をせられて、在奥《おくまり》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十八(一七)

 然《され》ば次の間に、這《この》問答をうち聞きぬる、両家老諸士の毎《ともがら》、憶《おも》わずも歓びの声を合わせて、千歳《せんざい》を唱《とな》えざる者なかりけり。勅答《ちょくとう》既に果てしかば、饗応使《きょうおうし》犬江親兵衛、蜑崎《あまさき》照文《てるふみ》等、両御使《りょうおんつかい》に案内《しるべ》して、別庁《ことひろま》に…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之四十八(一六)

 這《この》時|義実《よしざね》老侯《ろうこう》の名代《みょうだい》なる、堀内《ほりうち》蔵人《くらんど》貞行《さだゆき》は、両家老等と倶《とも》に、次の間に在《あ》りしを、召されて当席《とうせき》に入りて拝聴す。然《され》ば外廂《えんがわ》に侍《はべ》りたる、八犬士等は、朝賞《ちょうしょう》の過《おおけな》きにうち驚きて、皆|平伏《ひ…
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