南総里見八犬伝 第九揖巻之三十六(七)

「犬田の意見、什※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2-94-57]《いかに》」  と問えば、小文吾答えて、 「然《され》ばとよ、既に皆|助命《じょめい》の上は、留《とゞ》まらんと願う者は、留《とゞ》めて是を用うべし。かえり去らんと請う者は、放《はな》ち遣《や》るもよからずや」  というを良于《よしゆき》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十六(六)

 爾程《さるほど》に※[#「けものへん+爰」、第3水準1-87-78]島《さしまの》郡司《ぐんじ》将衡《まさひら》は、其《そ》の兄|相馬《そうまの》郡領《ぐんりょう》将常《まさつね》と相《あい》共に、一千余騎を二隊《ふたて》に分かちて、人は枚《ばい》を銜《ふく》み、馬には※[#「金+塵」の「土」に代えて「れんが」、第3水準1-93-42…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十六(五)

   第百六十三回  爾程《さるほど》に、犬川荘介は、其《そ》の隊《て》の士卒を従えて、今井《いまい》の柵《さく》にかえり来にけるに、既にして犬田小文吾は、妙見島《みょうけんじま》より、隊兵《てぜい》を渡して、夙《はや》く這里《こゝ》に俟《まち》て居《お》り。這《この》柵《さく》の燬《ひ》を免《のが》れたる、守屋《もりや》を修理《…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十六(四)

 これを目送《みおく》る寄隊《よせて》の士卒は、皆|忙然《ぼうぜん》たる※[#「研のつくり」、第3水準1-84-17]《そ》が中に、妻有《つまりの》復六《またろく》怺難《こらえかね》て、由充《よりみつ》に薦《すゝ》むるよう、 「那《かの》犬川荘介が奸雄《かんゆう》なる、言《こと》を設《もう》け射芸《しゃげい》を示して、戦わずして退《し…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十六(三)

 小文吾|呵々《かゝ》とうち笑いて、数世《かずよ》に向かいて又いうよう、 「汝《いまし》みずから匹夫《ひっぷ》の勇《ゆう》を、忠信《たゞのぶ》兼光《かねみつ》に比《たくら》べて、云云《かにかく》といいしは過ぎたり。しかれども、大石《おおいし》憲重《のりしげ》憲儀《のりかた》の家臣たる者、皆|仁田山《にたやま》晋五《しんご》等の、類《た…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十六(二)

 有恁《かゝり》し程に、犬川荘介|義任《よしとう》は、其《そ》の隊《て》の軍兵《ぐんぴょう》一千五百余|名《にん》、幾十|箇《そう》の戦艦《いくさぶね》に、うち乗りたるを従えて、この夜《よ》丑三《うしみつ》の比及《ころおい》に、闇に紛《まぎ》れて今井《いまい》なる、敵の柵《さく》に推寄《おしよ》するに、満呂《まろの》復五郎《またごろう》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十六(一)

   第百六十二回  復説《またとく》、満呂《まろの》再太郎《さいたろう》信重《のぶしげ》、安西《あんざい》就介《なりすけ》景重《かげしげ》は、然《さ》しも負《たのも》しく思いたる、満呂《まろの》復五郎《またごろう》重時《しげとき》が、矢場《やにわ》に敵の銕砲《てっぽう》に、撃たれて水底《みなそこ》に淪《しず》みしかば、勢い折《く…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(一三)

 恁而《かくて》在《あ》るべきにあらざれば、再太郎《さいたろう》は又|悄《しのび》やかに、妙見島《みょうけんじま》のかたに泅《およ》ぎゆくに、果たして柵《さく》を去ること遠からぬ、水中に、張亘《はりわた》したる大※[#「金+條」]索《おおくさり》、両三条《ふたすじみすじ》ありければ、軈《やが》て腰なる匕首《あいくち》を、脱出《ぬきいだ》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(一二)

 恁而《かくて》十二月《しわす》四日になりぬ。この日荘介小文吾は、良于《よしゆき》重時《しげとき》、信重《のぶしげ》景重《かげしげ》等の諸士を集合《つどえ》て示すよう、 「嚮《さき》に洲崎《すさき》の御陣《ごじん》より、遣《つか》わされし快船《はやふね》来著《らいちゃく》して、犬阪犬山の奉書《うけたまわりぶみ》こゝに在《あ》り。敵はこ…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(一一)

「在下《それがし》近属《ちかごろ》軍書の講を聞き候いしに、元人《げんひと》東都《とうと》の羅貫中《らかんちゅう》が、三国志演義《さんごくしえんぎ》に載《の》せたりと云う、那《かの》魏公《ぎこう》曹操《そうそう》が、呉《ご》の孫権《そんけん》を、攻伐《せめう》たまく欲《ほ》りしける、赤壁《せきへき》の闘戦《たゝかい》以前に、呉《ご》の都督…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(一〇)

 恁而《かくて》満呂《まろの》復五郎《またごろう》重時《しげとき》は、件《くだん》の両個《ふたり》の少年を、倶《ぐ》して塩浜《しおはま》の陣へかえり来つ、随即《すなわち》犬川荘介と、犬田小文吾に、有りし事の顛末《もとすえ》を、詳《つまびらか》に告げ愬《うった》えて、請うて、成之介《なりのすけ》と再太郎《さいたろう》を見せしかば、荘介小文…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(九)

 当下《そのとき》復五郎《またごろう》重時《しげとき》は、又|木瓜八《ぼけはち》に談ずるよう、 「知らるゝごとく敵の二柵《ふたさく》は、西の河原《かわら》と妙見島《みょうけんじま》に在り。我|再太郎《さいたろう》と共侶《もろとも》に、早湍《はやせ》を渉《わた》し先駈《さきがけ》して、柵《さく》を破らまく思うそが為に、人魚《にんぎょ》の…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(八)

「原来《さては》御身《おんみ》は満呂《まろ》氏《うじ》にて、浜の御陣《ごじん》より来ませし歟《か》。問われまつりて恥ずかしき、小可《やつがれ》が故《もと》の東人《おやかた》も、即《すなわ》ち是|満呂《まろ》氏《うじ》にて、在昔《むかし》鎌倉の将軍家、創業の時、頼朝《よりとも》公に従いまつりし、麻呂《まろの》五郎《ごろう》信俊《のぶとし》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(七)

   第百六十一回  這《この》時|下総《しもふさ》なる、行徳口《ぎょうとこぐち》に敵を待つ、犬川荘介犬田小文吾は、登桐《のぼぎり》山八《さんぱち》、満呂《まろの》復五郎《またごろう》等と倶《とも》に、七八千の兵《つわもの》を将《い》て、いそぎて其《そ》の地に赴《おもむ》く程に、上総《かずさ》下総《しもふさ》の路次《ろじ》にして、…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(六)

 不題《そはおきて》、この日|洲崎《すさき》なる、里見の陣所《じんしょ》には、遠見《とおみ》の為に隊兵《てのもの》を領《い》て、其頭《そこら》の浦巡りを致しし両個《ふたり》の小兵頭《こものがしら》、印東《いんどう》小六《ころく》明相《あけすけ》(東《とうの》六郎《ろくろう》辰相《ときすけ》が子なり)荒川《あらかわ》太郎一郎《たろういちろ…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(五)

 恁而《かくて》友勝《ともかつ》がいう所、餅九郎《もちくろう》が報《つ》げたると、毫《ちっと》も差《たが》うことあらず。友勝《ともかつ》は、千代丸《ちよまる》豊俊《とよとし》が旧臣|浜県《はまがた》馬助《うますけ》と偽《いつわ》り名告《なの》りて、則《すなわ》ち豊俊《とよとし》が裏伐《うらぎり》の、諜状書《ちょうじょうしょ》を呈《てい》…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(四)

   第百六十回  爾程《さるほど》に定正《さだまさ》は、五十子《いさらご》の城近き、浜辺に多く戦艦《いくさぶね》を集むるに、大石《おおいし》憲儀《のりかた》奉《うけたまわ》りて、其《そ》の艦《ふね》を展検《てんけん》す。約莫《およそ》柴浜《しばはま》より、大森《おおもり》六郷《ろくごう》まで、海岸《うみべ》に維《つな》ぐ大小の戦…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(三)

 然《され》ばこの日、定正《さだまさ》の怒《いかり》を寛解《なだ》めて、助友《すけとも》を恙《つゝが》もなく退《しりぞ》かせし、武田《たけだ》左京亮《さきょうのすけ》信隆《のぶたか》は、素《もと》是|上総《かずさ》なる、庁南《ちょうなん》の城主也。初め信隆《のぶたか》愆《あやまち》て那《かの》蟇田《ひきた》素藤《もとふじ》と、酒茶《しゅ…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(二)

 既にして諸方の隊配《てくばり》、かくの如くに定まりければ、この朝《あした》、顕定《あきさだ》父子《おやこ》成氏《なりうじ》朝良《ともよし》自胤《よりたね》は、柴浜《しばはま》より艦《ふね》にて、或いは両国河《りょうごくがわ》に泝《さかのぼ》り、或いは径《たゞ》に中川《なかがわ》へ推し渡して、夙《はや》く要害を拿《と》らんとす。士卒の艦…
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南総里見八犬伝 第九揖巻之三十五(一)

   第百五十九回  却説《かくて》雑兵《ぞうひょう》狙岡《さるおか》猿八《さるはち》は、当晩《そのよ》洲崎《すさき》の陣にかえり来て、軍師犬阪毛野に報《つ》ぐるに、那《かの》浦にて有りし事、誨《おし》えられたる猿楽《さるごう》をもて、扇谷《おうぎがやつ》の間諜児《しのびのもの》、天嵒《あまいわ》餅九郎《もちくろう》を釣り出《いだ…
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